令和4年予算に関する特別委員会<衛生費質疑答弁一覧>

夏目亜季が普段から力を入れている感染症対策やがん検診、女性や若年層の「健康」に関する問題ついて取り上げた質疑答弁をまとめました。今後も区民の健康と安全を守るために尽力して参ります。

〜衛生費〜

目次

○小児がん・AYA世代のがん患者に対する助成や普及啓発

○子宮頸がん健診のあり方(年齢制限や検診方法)

○HPVワクチンの有害事象及び副反応は因果関係に限らず適切なケアをすること

○人工中絶と緊急避妊薬について(オンライン診療)



AYA世代とは15〜39歳の方のことを指しており、日本では毎年約2万人の方がこの世代でがんに罹患していることがわかっています。

現在区内におけるAYA世代のがんの患者数はそれぞれ何人になりますでしょうか。

またその中でも実際に多いがんをそれぞれ教えてください。


東京都で「2016年症例報告書」が公表されている。報告書によると、区ごとではくゎからないが、都全体で15歳から39歳までの女性に多いがんを見ると、乳房601人、子宮314人、甲状腺268人といった順番である。


この世代のがん患者さんは、妊娠や出産、結婚、就職中、進学前、在学中などあらゆる人生のイベントが起きやすい年齢なこともあり、がんの発症によって様々な進路を妨げられることもありますが他の世代に比べて患者数が少ないこと、疾患構成が多様であることから、就労や教育、生殖機能の温存に関する相談体制や情報が十分ではないといった課題があります。区としてもこのような課題に対しどういった事ができるか考えがあればお聞かせください。


情報提供については、現在改訂作業中の区HPにおいて準備を進めている。その中で都の相談窓口の紹介や国立がんセンターのがん情報へのリンクを行う予定である。


小児・AYA世代のがん患者の支援として横浜市では、40歳未満のがん患者の方が住み慣れた生活の場で安心して自分らしい生活ができるよう、在宅サービス利用料の一部を助成(償還払)し、患者さんとその家族の負担を軽減する助成制度を実施する若年がん患者の在宅療養支援助成というのがあります。

他にも多数の自治体がこの在宅療養支援助成のようなものを採用しています。

40歳未満のがん患者は在宅療養したくても介護保険が使えないこともあり自己負担が高額であることが課題として挙げられています。治療期間が長い疾病で長期的に療養しなければならない本人とご家族の皆様が経済的な面においても安心して在宅療養ができるように荒川区としても助成を検討していただきたいですが、区としての考えを教えてください。


区としては、現時点では費用助成を行う状況にはないが、まずは、都の検討内容や事業実績などを注視しつつ、がんとの共生が求められている社会状況を踏まえ、がん検診事業に加えてがんと診断された後のサポートについて研究してまいりたい。


現在東京都では、生殖機能に影響する恐れのある治療を受ける患者さんに対して助成をしています。(記載されていますのは「小児、思春期、若年がん患者の生殖機能温存に関する診療ガイドライン」の妊孕性低下リスクに分類された治療のうち、高、中間、低リスクの治療をされている方、乳がん等、長期治療によって卵巣機能の低下が想定されるがん疾患の方、再生不良性貧血等造血幹細胞が実施される非がん疾患の方、全身性エリテマトーデス等アルキル化剤が投与される非がん疾患の方、このいずれかの条件に当てはまる方に精子凍結や卵子凍結などの生殖機能温存治療及び妊娠のための治療に係る費用を東京都が助成しています。)

区のHPを見ていますと、こちらの情報につながるようなリンクがみあたりませんでした。生殖機能に影響する恐れのある治療を受けていたとしても助成があるということを区としても広く、普及啓発すべきかと思いますがいかがでしょうか。


改訂作業中の区ホームページにおいて、ライフステージに応じたがん対策の記述の中でAYA世代のがんについての情報提供や都の助成制度の紹介を行う予定である。


令和元年度、令和二年度、令和3年度の、区で郵送している子宮頸がん検査の対象者数と検診にこられた方の総数をそれぞれ教えてください。


令和元年度の対象者数が30,870人、受診者数が7,665人、令和2年度の対象者数が31,186人、受診者数が6,084人、令和3年度(令和4年1月現在)の対象者数が26,452人、受診者数が6,545人。


その中でも細胞診に異常があり要検査になった方や、すでに子宮頸がんが発覚した人数はそれぞれどれくらいいらっしゃいますか。


令和2年度では、細胞診に異常があり要精密検査となった方が139人、子宮頸がんと診断された方が1人である。


この検査ですが、何歳の方まで送られていますか?

個別通知は88歳までの方に送付している。平成27年3月の「荒川区がん検診精度管理委員会」での意見を踏まえ、27年10月生まれの方への通知発送から、88歳までとしている。

現在健診に来られている方の最高齢は何歳なのでしょうか。


令和2年度では、88歳である。


国立がん研究センターを見ても細胞診の対象者は20〜69歳と記載がありました。どういう線引きにするかは議論する必要があると思いますが、広く案内を送るのも予算がかかりますし、検診案内は自治体の裁量によることだと思いますので現在の区の考えをお聞かせください。


がん対策の基本的な考え方として、ライフサイクルに合わせたがん対策の実施が求められている。例えば、がんに罹患する確率が非常に低い若年層から成年層にかけては、がん検診を特に推奨するべき年代として受診勧奨を強化する一方で、がん罹患率が高まってくる高齢期においては、1年~2年に1回の検診では発見が遅れてしまう可能性が高まるため、検診の機会は確保しつつも有症状時に確実に遅れることなく受診できるように啓発を強化する、等である。この考え方に基づき、委員ご指摘のとおり改正された国の指針では特に推奨する年齢を69歳までとしている。今後、国の指針を満たすよう荒川区がん検診精度管理委員会での議論を行ってまいりたい。


荒川区では現在自治体からの案内で送られている無料検査で行われる検査の方法はどのような方法でしょうか。


細胞診法については、現在、従来法と液状検体法の2つがある。本区では自前の区検施設を持っており、従来法で実施している。


液状化細胞診では不適正検体割合のバラツキが小さく更に減少が期待できる。と記載がありました。実際に横浜市ではこの液状化細胞診が推奨され検診チケットで費用が変わらず液状化細胞診も認められているとクリニックのHPから見ましたが、荒川区ではどうなってますでしょうか。


液状検体法では、細胞の回収率が良いなどの利点があるとされるが、国立がん研究センターがまとめたガイドラインでは、従来法・液状検体法ともに推奨グレードAとされている。区の検診は臨床細胞学会の認定を受けた細胞検査士や細胞診専門医が行い、また、荒川区がん予防・健康づくりセンターは、日本臨床細胞学会の施設認定を受けていることから、高い精度での検診を実施できていると考えている。今後とも、精度の高いがん検診の実施に努めてまいりたい。


区検査の部材が前年の同月比で分配されているので足りない分は区検をする度に自院の負担が出て困っているという声もいただきましたがこれについてはどうなっていますでしょうか。また改善されますでしょうか。


検査の部材については、納入先の荒川区医師会からは、全体的に不足があるとは聞いていないが、がん検診の環境をより整えていくためにも、ご意見を踏まえ、医師会と丁寧に話をしてまいりたい。


次にHPVワクチンの積極的接種が再開された後、接種される人口が増えてくると問題になるのは副反応です。以前報道があったように、副反応に対する訴えをする方がいらっしゃるかと思います。区としても以前のような混乱を防ぐためにも副反応かな?と思った方が相談できる箇所をコロナワクチン同様設けるべきかと思いますが、現在考えられていることはありますでしょうか。


HPVワクチンの接種後に症状が出てしまった場合の相談体制を整備することは重要と認識している。ワクチン接種後に気になる症状が出た場合の基本的な相談の流れとしては、まずは接種した医療機関に相談し、その医師の判断で専門的な診察が可能な協力医療機関につなぐこととなっている。

この専門的な医療機関は、各都道府県に選定されており、都内の協力医療機関は、東京大学医学部附属病院や順天堂大学附属病院等5か所ある。

大学病院や荒川区医師会と連携して、HPVワクチンを接種する医療機関が副反応の相談を適切に受け、状況に応じて専門の医療機関につなぐことができるよう体制を整備していく。


荒川区と近いのも東大病院、順天堂大学病院かと思いますのでしっかり連携をとっていただき、接種を受ける人の不安を少しでも減らしていただきたく思います。

症状が辛いと訴えている方に関してワクチンと例え因果関係がなくても適切なケアをしてあげる事で症状が和らぐ、もしくは症状がなくなるという事です、この辺り荒川区としても医師会と連携してしっかりサポートしていただきたいと思います。区のお考えをお聞かせください。


平成25年度にHPVワクチンの接種が開始された際に、様々な症状をうったえる方が出たという経緯を踏まえると、これからワクチンを接種する方や接種したことにより不調を感じた方に寄り添って対応していくことが重要と認識している。

ご紹介のあったような心因性による症状もあったという報告もあるため、医師会と連携し、接種した医療機関で適切な対応が行えるようにしていく。


副反応かなと思った時の相談先や医療機関等を掲載し、しっかり頼れる場所、相談できる場所があるということを広く普及啓発し、区民が安心して HPVワクチン接種を受けられるようにしていただきたいと要望しますがいかが思いますか。


HPVワクチンの積極的接種勧奨の再開に伴い、さきほどご答弁申し上げた相談の流れや相談先を区のホームページ等に掲載し、情報提供していくとともに、区に相談があった場合には適切に医療につなげることができるよう体制を整備していく。それにより、接種を希望される方が安心して接種できるようにしていく。


質問変わりまして、緊急避妊薬、いわゆるアフターピルの処方について質問いたします。

荒川区における人工中絶件数をお伺いいたします。


荒川区内の医療機関における令和2年度の人口中絶の件数は69件。

令和3年度は1月末時点で52件。


荒川区においてもオンライン診療を行っている病院もあるため、困った方がすぐにアクセスできるようHPなどで周知を行っていただきたいと考えていますがいかがでしょうか。


現在、厚労省のホームページに、緊急避妊薬の診察ができる医療機関、オンライン診療ができる医療機関、薬を処方できる薬局の一覧が掲載されている。

ご指摘を踏まえ、区としても、区のホームページで厚労省のページを紹介するといった対応について検討していく。


他にも、荒川区公式LINEに産婦人科のオンラインでも可能な診療所一覧などわかりやすく案内をしたりさらなる情報提供の拡充を求めますが見解を伺います。


現在の区公式LINEアプリでは、トップページに記載されている「子育て」という項目をタップすると、「妊娠・出産」「子育て」「子育てアプリ」という項目が表示され、「妊娠・出産」をタップすると区の妊娠・出産に関する情報を掲載しているページに誘導する形式となっている。LINEアプリは稼働して時間があまりたっておらず、現時点ではメニューも少なく、内容の充実が必要と考えており、広報課とも連携し、トップページから必要な情報を選択していくことで、必要な情報が掲載されているページに効率的に誘導できるよう工夫していく。


 読売新聞の記事によれば愛知県で当時20歳の未婚女性が公園のトイレで赤ちゃんを出産し、亡くなるといった事件が起きたそうです。2か所で中絶手術を断られ、堕胎時期を逃した末の犯行でなぜ手術してもらえなかったのかと言うと背景には医療現場が、中絶時に配偶者の同意を必要とする法律の規定を「拡大解釈」していることがある。との記載がありました。G7を見てもパートナーの同意が必要とされているのは日本のみであります。厚労省も「未婚の場合は同意は不要」と答弁していることからこの悲しい連鎖を断ち切るためにも荒川区の医師会や産婦人科等医療機関に周知すべきと考えますがいかがでしょう。


人工妊娠中絶の同意について、母体保護法では、「医師は、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる」という原則が示されているが、「配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなつたときには本人の同意だけで足りる」とされている。

さらに厚労省は、「配偶者とは、婚姻関係にあるもの(事実婚を含む)を指す。したがって、母体保護法上は、婚姻していない方、すなわち配偶者の存在しない方については、配偶者の同意は不要である。」としている。つまり、未婚の場合は本人同意のみでよいということになっている。

 市民団体が厚労省に、配偶者の同意を求める法律の規定を削除することや、未婚の場合や、配偶者の性暴力などによる妊娠の場合は、同意は必要ではないことを社会に周知することを求める署名を提出するという動きもある。

 このような動向も注視しつつ、まずは、区の医師会の先生方がこの件についてどう受け止められているのかについて聞いていきたい。


ぜひ区の医師会の先生方にも見解を聞いていただきたいです。最後にいたしますが、ここまで申し上げたように、望まない妊娠を避ける上でも、またオンライン診療の周知徹底による産婦人科へのアクセス向上によって、アフターピルの入手を容易にすることは重要であると考えております。国に対して緊急避妊薬の薬局での販売について、荒川区からも要望を行っていただけるようお願いします。


HPVワクチンから緊急避妊薬、人口中絶と様々なご指摘をいただいたが、共通しているのは、区民の方々が困った際にいかに迅速かつ的確に対応できる体制を整備するかという点である。ご指摘を踏まえ、しっかり体制の整備を進めていきたい。


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